インドネシア BTS ULTRA 勝った!

  • 2017.11.19 Sunday
  • 21:23
2017 4 NOV Indonesia BTS30km 520 started 1156m Denivele


レースレポ 「勝利の女神はトイレの女神」

10月19〜21日 フランス領 アフリカ地域のレユニオン島 グランレイドレウニオン 165km 総獲得標高9553m ウルトラトレイルワールドツアー を38時間44分で完走し、初マイラーとなった2週間後の11月4日、来年に向けたツアー視察の為、インドネシアのジャワ島 ボロモ・テンガー・セマル国立公園で開催されるBTS100ウルトラに出張して来た。

本当なら70kか100kを視察を兼ねて走りたいところではあったが、流石に体が持たないと思い、30kmにエントリー。 エントリーの時点ではまだマイラーになれるかどうかわからないので、初100マイルの後、自分がどのような状態になるのか、どれぐらい消耗し、2週間でどれぐらい回復できるのか、予測もできなかった。

100マイル後、過去経験がないレベルで足は浮腫んだものの、思ったよりダメージは少なかったように思う。 100マイル のレユニオン自体、65kで早々に強烈なグロッキータイムが来て、約1時間半がっつり休んだ事もあり、実は正直な感想は思ったより100マイル が長くは感じなかった。

15分しか眠らなかったが、幻覚も幻聴も無かったし、追い込まれた状態は、前半の65kのリバースタイム以外は全く無かった。

帰国後、インドネシア出発まで結果的に一切走らなかった。ひたすら我慢していた とんこつラーメンやケンタッキーなどを貪り、すっかりレユニオン以前までリバウンドしていた。

BTSとはジャワ島最大の景勝地 ボロモ テンガー スメル国立公園の頭文字を取った名前で100マイル.100k 70k 30kのレースがありUTMBポイント対象レース。インドネシアで最もポピュラーなレースのひとつらしい。

なにより、その景色は「圧巻」の一言。 超巨大な火山クレーターの外輪山、さらにその中に三つの2300mオーバーの火山が存在し、回りは火山灰の砂漠と言う、まるで月面を走るような荘厳で幻想的な景色の中を走る。


インドネシアでもトレイルランニングブームは非常に盛り上がりを見せているそうで、急激に大会もランナーも増加しているそうだ。
参加者は最も短い30kmが最も多く、約600名がエントリー、70kは500名、100kが100名、100マイルは60名だそうだ。

11月4日 朝6時スタートの為、4時半に起きてスキヤキメシを作り食べる。ちょっと遅い食事だが、なるべく睡眠をとりたかった。

スタート45分前にスタート地点に行くと既にかなり多くのランナーが集まっている。 スタート後800mぐらいで細いシングルトラックに入るらしく、すぐ渋滞するそうなので二列目に並ぶ。


スタート地点がすでに標高約2200mなので、アップをすると明らかに酸素の薄さを感じる。 レユニオンでも2000m代には何度か登っていたので、何とかなるかな?と考える。

インドネシアの国歌を聞き、カウントダウンされると、約520名のランナーが一斉にスタート! 地元らしきランナーがとんでもないスピードですっ飛んで行く。

私も渋滞回避の為、結構なダッシュをかますと、いきなり心拍がヤバい感じになり、急いで落とす。 落とすものの結構キツく、また失敗したか不安になる。 すぐにかなり狭いシングルトラックに入り、外輪山の稜線を進む。走れる緩やかなアップダウンだが、走り続けるとかなり呼吸と心拍がきつくなる。

スタートで猛烈に突っ込んだ数名は急ブレーキで戻ってくるが、前に4人ぐらい行った。 稜線から火山のクレーターに下る入り口を見逃し真っ直ぐ行ってしまい、ミスコース。

後ろに続いていた4名に抜かれ8番手ぐらいで下り始める。 トレイルは日本のトレイルに近い柔らかい土のサーフェスだが、幅がめちゃ狭い。脚を一列に出さないとトレイルから出てしまう。追い越しはかなり困難な狭さだ。

この下りの後、クレーターの底の平坦な砂漠を少し走りコース中最大の高低差約700mの急登が待ち構える。



クレーターの平地は場所によって地面が砂地で非常に柔らかく、蹴ろうとするとパワーロスするので、なるべくしっかり面で着地し、蹴らずに膝をなるべく前にあげるイメージで進む。

砂地の平地でも、どんどん追い上げてくるが、目の前にそり立つ外輪山の急な斜面をジグザグに登るトレイルが見える。あれはなかなかきつそうだ。


平地で追い込みすぎるとあの登りで足が止まるだろうと思い、あえて追わずにマイペースを貫く。砂漠の平地で2人抜かし、外輪山斜面の急登へ突入。 予想通りのかなりの急登。登りで前に行っていた2名が急ブレーキし減速、淡々と交わす。

10m前にかなり絞れた走れるランナーが一名、かなり若そうだ。このランナーは無理に抜かさず、ペースメーカーにしたほうがよさそうだったので、差を保ちつつ激坂を登り続ける。

登りはどんどんきつくなり、腕を使ってクライミングしなくてはならない箇所が何度も出て来た。かなり心拍も上がっていたので、必死にセーブを心掛ける。

前を行く、若い速そうなランナーも足取りはキツそうに見える。コースプロフィールで確認していたが、この急登を登りきって、また外輪山の稜線に出るが更に2.3kmは登り基調で2700mまで登るはず。そこが丁度約10km地点なので、そこまでは余裕を持って入ろうと決めていた。気持ちと脚には余裕が有るのだが、スタートからずっと2000mオーバーなので呼吸と心拍が上がっている。

急登の最後で少し前と離れ始め、なだらかな稜線に入った。ここからは右手に美しいボロモ、テンガー火山が見え、後半走る砂漠の平坦が見える。 30kmという距離は、前半から突っ込むと持ちそうで持たない距離だと私は思っている。 何気に私は30km前後のレース経験は非常に多い。市川三郷トレイルや 桃太郎伝説扇山トレイル、八重山、陣場山などなど、おそらく30km〜50kmが最も沢山走ったレースの距離だと思う。だから自分のペース配分はこの距離クラスに関してはかなり把握できているつもりだ。

緩やかな外輪山の稜線はトレイル両脇の木の枝などが覆い被さり、腕で枝を避けながら進む感じでは有るが、コース自体はかなり走れる。 緩やかな場所は走り、筋力に高い負荷がかかり始める斜度は、パワーウォークした。
前の若者は一度視界から消え、かなり離される。

しかし、淡々とペースを刻んでいると、再び彼の背中が見え始める。 10km地点の2700mのピークからは20km過ぎまで長い下りとなり、プロフィールで見た限りはかなり走れそうだった。しかも下りきってからボロモ火山の火口へ登る迄は約5km砂漠の平坦なので、約15kmは走り続けなくてはならない。

私はここを勝負と考えていた。この走れる区間で潰れずに走り続けられるかどうかが重要と考えていた。

前の選手に約10mまで迫り、2700mのピークを過ぎて下りに入った。 すると直ぐにマーキングのない分かれ道があり、右にカーブする道の方が広いが、細い道は直線で続いている。 どっちだ!?

路面についた足跡を探すが、どちらもイマイチはっきりと足跡がない。仕方なく直進するが、トレイルはどんどん細くなり、かなり怪しくなる。一度引き返し、右に下っている道を行ってみるがやはり見える範囲にマーキングが無い。

参った、一瞬で前の選手を見失った。 再度直進の道を進んでみるが、どんなに目を凝らしてもランナーらしき足跡はない。
やはりこちらは違う。 決断し右に下る道を下りる。少し行くとマーキングが! あの分岐点につけてくれよ…。

かなりタイムロスした。3分はウロウロしただろう。せっかく詰めた若者に追いつくことを半ば諦めた。

仕方ない。もともとレユニオン後だし、結果を出すために来たレースでは無い。 気持ちを切り替え、とにかく自分のペースで進めば、まだ年代別やトップ10は狙える位置にいるはず。

かなり走れる下りだった。気持ちよく下りをリズミカルに走っていると、突然左の茂みからさっきまで前にいた若者が出てきた。

あれ!? どうも大きな花摘みをしたようだ。 ラッキー。私もロストしたが、前の彼にもトラブルが発生していたようだ。 そのまま抜かし下りを走り続ける。 しばらく行くと、 ガサガサっ! また左の茂みでインドネシアのランナーらしき選手が、「大きな花摘み中」…

今日は花摘みたい人、やけに多いな…。 でもラッキー! 2人抜いたから私のカウントでは4ー5位のはず。 俄然やる気が出て来る。 快調に飛ばしていると、またマーキングが無い分岐が…。 またか!

直進の道はかなり藪になりかけていて、あまりランナーが入って居なそうな気配だが、道なり。 左への下る道は、かなり人が通った気配だが、グーグルアースのコースGPSルートでは、稜線から右に下るはずで、左斜面を下る場所はなかったはず。もしかして70kや100kのコースなのでは?

左に下るとマーキングがあったが、本当に左斜面に下るべきか、かなり怪しい。一度戻ると、せっかく離し始めたさっきの若者にまた追いつかれる。 彼は迷わず直進。 でも、やはりコースっぽく無いので、 「マーキングはこっちに有るよ!」と叫ぶと、こちらに戻って来た。

私はマーキングの有る左斜面へ降りるルートにかなりの不安を覚えたが、とりあえず行くしか無い。

若者を引き連れ、2人で下る。 ここまで抜きつ抜かれつしてきた2人なので、そこまで力に差はなく、後ろにピッタリ着かれる。どうやらコースはあっているようだ。

くっつかれるのはかなり苦手だが、仕方なく自分のペースで下る。 なんども小さなゆるい登り返しがあり、そこは極力走って揺さぶってみる。

何度か登り返しをプッシュして走ると、足音がやや小さくなり始める。下りの後の平坦をしっかり走らないといけないので、思い切ったペースアップは出来ない。だからジワジワと小さな登り返しを利用して徐々に差を広げた。

長い走り続ける下りには、若干自信があった。なにしろレユニオンのあのMaidoからSans Souciの105kmからの約15kmのエンドレスダウンヒルで下り足は鍛えられている。あれは本当にきつかった。今までのラン人生で最もやられた下りだった。
あれに比べたらスタート後15kmから始まる10kmの下りなど楽勝だ。

実際、下りで足は問題なく軽快に下った。若者はジワジワと離れていった。 しばらく行くとロードに出て、急に路面が硬くなり衝撃が倍増。 100マイル 明けの足に異常が発生しないか、かなり心配だったが、大丈夫そうだ。

折り返しの15kmあたりで、第2水エイド。コーラや食べ物も少しあったが、十分なジェルが有ったので、水だけフラスクに足して、直ぐにエイドアウト。 ここで5位と告げられた気がする。

さらにロードで外輪山の斜面を下ると眼下にはランドクルーザーが巻き上げる灰の砂煙が立つ、広大なクレーターの砂漠が広がる。 下り切ると、火山灰が堆積した砂地の平地をボロモ火山まで約5〜6km程進む。

砂漠は蹴るとパワーロスして進まないので、また蹴らずにすぐに反対の足の膝をなるべく高く引き上げ、あしラボの小野寺先生に伝授して頂いた、体重移動、着地点、体のねじれに気をつけて、とにかくフォームとリズム、呼吸を意識し前を追った。

ロードから砂漠に入る頃、前半猛スピードで視界から消えたオレンジウェアの地元選手をロックオン。

足取りがだいぶ重く見える。 砂漠に入ると、先行する選手たちの足跡がはっきりと見える。おそらく地元の選手だったはずなので、走りやすいラインどりの参考に、足跡をたどる。 砂漠は場所によって砂が引き締まっている場所と、フカフカに柔らかく沈んで進まない場所がある。 特に今日は昨夜の雨で、ラインによってはかなり走りやすい締まったラインが存在した。 ランクルの轍は走りやすいかと思ったが、意外とタイヤが砂を掘り起こし、柔らかくなっており轍はイマイチだった。

ロックオンしたオレンジのウェアの選手に追いつくと、しばし後ろで観察。 回復に努める。彼を抜かせば4位なはず。
だいぶペースが遅く感じたため、しっかり呼吸を整えて、一気に加速し引き離す。
足跡は1人減り、2ー3人の足跡が見える。 前の選手の足跡のストライドと自分のストライドを比較しながら走る。 明らかに15-20cm私のストライドが上回っている。 だがまだ前にランナーは見えない。フラットな砂漠で見えないから、相当離れているんだろう。 でも、まだわからない。ストライドからすると、かなり減速している可能性がある。

諦めずひたすらリズムを保って、腕をしっかり振って上半身で足を前に出すイメージで進む。

と、カーブを曲がると突然前に歩いている2人のランナーを発見! いきなり見つけた!

雰囲気としては、もう後ろは完全に引き離したから、歩いてもこの2人勝負だね、ぐらいの感じに見える。 「そうは問屋の下ろし金、日本のおっさんをなめんなよ」 そう喝を入れて、気付かれないように距離を詰める。

20mぐらいまで迫って、1人が振り返り、「あっ!」と言う感じで2人揃って走り出した。 「この平坦で歩きが入っている時点でお前らの負けだ!」と、心の中で呟きジワジワと距離を詰める。無理に追ってこの後の最後の難関、ボロモ火山の登りで自分が潰れてはいかん。

ジワジワと詰めて、遂に追いつく。 前の2人は、私の様子を伺うように3人横一列に並んだ。 私がペースを落とすと彼らも落とす。 「よーし、やってやろうじゃ無いか!」 闘争心に火がついた。

この辺はフラットなようで砂漠のうねりがあり、ゆるいアップダウンが繰り返していた。 ゆるい登りで一気に加速してみる。 1人が遅れ、1人が食らいついてきた。 しばらく引っ張るがぴったりついてくる。 体も筋肉質で絞れており、走れそうだ。

しかし、この選手バックパックはおろかボトル一つも持っていないのでは無いか? 必携品のレギュレーションを、完全に違反しているぞ?
それを見ると、ますます負けたく無い気持ちになり、再度勝負をかける準備に入る。 しばらく引っ張るが離れないので、長いゆるい登りで疲れたふりをしてジワジワ減速し、前に出して見る。

頭が左右に揺れて、一歩一歩必死に足を前に出している感じで、かなり消耗しているように見える。彼が前に出るとたちまち減速し始めたので、もう一回スパートを打ち込んだ!

今回は前回より加速時間を伸ばし、自分の足を削りつつも、相手の足を終わらせるイメージでスパートした。 こっちもキツイが、お前はもっとキツイはず! そう心で叫びながら加速する。

ジワジワ気配が離れて行く。しばらく加速し後ろをチラ見すると20m差ぐらい開いたが、思ったより粘っている。 ゴールまで後約8km。コースは砂漠のジープ道から左のボロモ火山に向けて斜面を登り始める。


ここからボロモ火山の火口まで斜面をトラバースしながら登って行く。 遠目からは分からなかったが、激しくアップダウンしている。 次第に草一本ない雨で表面は硬いが、割れるともろく崩れる、今まで未体験の丘陵地帯に入る。まるで月面を走っているかの様な、今まで見たことのない、宇宙的な景色の中を走る。

火が昇りかなり熱く、明るい黄土色の斜面の照り返しが眩しい。 この登りが実質のラスボス。超えたらまた砂漠を横断し、最後に起点であるゴールへ一気に登るだけだ。

最後のエンジンに点火。フルガスでパワーウォークし、引き離しにかかる。 彼を離せば2位だ。表彰台が確実になる。 悔いのない走りをしよう。

スタート前には想像もしなかった、まさかの表彰台が迫っていた。 ボロモ火山の登りの途中でカメラマンが写真を撮っていたので、前の選手との差を聞いてみた。
「前とは何分ぐらい?」
「君が一位。君が30kmのトップだよ!」

… … 「え?…」 なぁにぃぃ!!

まさかの!? いやいや待て待て、絶対に後1人いるだろう。騙されるな。カメラマンだから数え間違えもあるだろう。チェックポイントなら確かな情報があるはず。


鵜呑みにせず、まだきっと前がいるつもりで進んだ。 ボロモ火山の火口に近づくと、コースはもはや道無き道、ボッコボコの砂礫層の斜面にマーキングを立ててコースに仕立て上げた前代未聞のテクニカルトラバースに突入した。

波打つ斜面は表面だけ硬く、足を踏ん張ると崩れ落ちた。斜面の溝は雨で侵食され、深いところは1mぐらいの溝ができていた。
下手なところに落ちるとケガをしかねない。

右足は外足が、左足は内足が限界まで引き伸ばされ筋肉が引きちぎれそう。 もはや四つん這いでないとまともに進めない。 あまりにテクニカルで、全く進まない。 なんども足場が崩れ、滑り落ちまたよじ登るを繰り返した。

走りたくても走れず、ただこの厄介な斜面に翻弄され、慣れた地元選手にまた追いつかれるのではないかと、不安になった。
でも、もう振り返らなかった。 相手も苦しんでいるはず、兎に角前進あるのみ。そう信じて必死に進む。

やっとの思いでこの地獄のトラバースを乗り越え、ボロモ火山の火口への階段の麓に辿り着き、チップチェックをする。

「You are first of 30km!」
やはり、私はトップだった!!
マジかー!!
まさかの、トップ!
私のランの優勝歴は、出走30名くらいの こどもの国ハーフマラソン の優勝だけだ。

まさか海外のUTMBポイント対象の、世界各地から参加のある520名スタートの大会で、トップになるとは夢にも思わなかった!!

「もう2度とないかもしれないこのチャンスを、絶対逃してはならない」 急にプレッシャーがのし掛かる。

最後の登り、ボロモ火山の火口への直登はマックスのパワーウォークを打ち込む。
来るな、来るなよ!
後ろから追われる恐怖。焦るな、落ち着け!
自分の葛藤が始まる。


ついにラスボス、ボロモ火山のピークにつき、証明のブレスレットをつけてもらい、折り返して下る。

ボロモ火山は、今日もジェット機のエンジン音の様な爆音を奏でている。観光客がたくさんおり、「ソーリー!トゥリマカシ!」

ごめんなさい、ありがとう! を連発して横を通過する。観光客や土産物屋があり過ぎてマーキングが解らない。

「コースは何処ですか!!」
何度も周りに聞きながら、山を駈け下る。

右足のふくらはぎと、ハムストリングスが攣りそう。

下りきって、まっすぐ行くとまたマーキングを見失う。

「コースは何処ですか!!」
周りに尋ねると、スタッフが走って来て、「あっちだ!」

と、元に戻る。 焦る。もう2度とないかもしれない海外レースの勝利をロストで逃したくない。

運良くすぐにコース復帰して、砂礫の谷を進む。

「足が、足がつる!」
やむなく止まり、必死にストレッチして伸ばす。もうゴールまで後3km。何とか持ってくれ!

携帯して来た全てのドリンクを飲み干す。
あとは砂漠を横断し、スタート地点に戻るだけだ。
足がつらない様に、砂地を蹴らずになるべく上半身で走るつもりで、フォーム腕振りを必死に意識した。
恐怖心で何度か振り返るが、後ろは見えなかった。大丈夫、行ける。このままのペースで進めば行ける。
何度も自分に言い聞かせた。

砂漠を渡りきり、もう一度後ろを振り返る。
全く見えない。相当離したようだ。
行ける!大丈夫!
再度自分に言い聞かせる。
最後のロードの急坂を登る。ラスト1km! 斜度25%〜30%の激坂で、ロードなのに全く走れない。必死にパワーウォークする。

何台もジープが唸りを上げて抜かして行く。バイクタクシーもたくさん来る。 2位の選手が、バイクタクシーに乗ってインチキして抜かされたらどうしよう、ジープも鈍いから、リアバンパーに飛び乗れば簡単にインチキ出来ちゃうな、とか、どうしようもない不安ばかりに駆られる。

兎に角、必死にパワーウォークした。 来ないはずの後ろを何度も振りかえった。

何度見ても後ろは見えなかった。ついに最後の激坂を登りきり、右に曲がりホームストレートに入る。足はパンパンだったが、レユニオンの最後の下りに比べたら楽勝だった。

「勝つ、勝つぞ!」

ゴールのアーチが見えて来た。
両手を挙げ、ガッツポーズした。

「やったー!ついに、まさかの優勝!」
念のためオーガナイザーに再確認した。
「俺、本当に30kmの一位なの?」

「Yes! You are winner and new record!」

あなたは勝者で、さらに大会新記録ですよ!

さらなるサプライズ、大会新記録まで頂き、感激!ゴールではカメラマンや、観戦していた観客から記念撮影の嵐だった。

最高…。勝つって、最高…。

全く予想していなかった、レユニオン二週間後の視察レースでの優勝。 レユニオンに向けて頑張った成果が意外な所で発揮された。

ゴール後はいろんな人に何度も何度も記念撮影を頼まれた。こんな事、もう2度とないかもしれないから、喜んで撮影に応じた。

ありがたい。こんなおっさんランナーと写真が撮りたいだなんて、ありがたい。

BTS 30km出て良かった。
しかし、2位の選手全然来ない。
一通り写真撮影や、ドリンクを飲んだりしていたら、10分後ぐらいにやっとやって来た!

こんなに離れているなら、あんなに心配しなきゃ良かった…。

2位のインドネシアの選手がゴール。 お互いに健闘を称えあい、握手を交わした。

3位には前半からずっと競り合って来た、若者が20分後ぐらいにゴールして来た。

彼も順位を正確には把握出来ておらず、 「君が3位だよ!」と教えてあげると、「マジで!やった〜!」と大喜び。

朝6時スタートで 3時間21分でゴール。まだ朝10時前だった。表彰式は14時からと言うので、一度ホテルに戻り、火山灰で全身真っ黒になった体を洗い、ハイまみれのウェアも洗濯した。

何だか信じられない気分だった。まさか、ここでトレラン初優勝が来るとは。 今まで 万里の長城マラソン2016で4位、同大会2017で7位に入った事はあるが、優勝者が同年CCC2位の選手で、タイム差が40分だったり、上位に入っても、どの大会も優勝とは縁が全くなかったので、想像もしなかった。

たまたまレースのレベルに恵まれたとは言え、こんなチャンスをもらえた事に感謝しかない。

トランスランタオ100k

  • 2017.03.10 Friday
  • 19:48
3月8日 今年3度目の香港へ。
香港トレイルで、最もきついと言われるトランスランタオ100k。

1月のウルトラトレイルワールドシリーズのVibramHK100では、 終盤にリバースアンド第失速で無念のレースだったので、今回の目標は リバースしない。80kmからプッシュできる ネガテイブスプリット。

トランスランタオは香港の中でも最も野生の自然が残る島で、階段や舗装路が少ない。
中でもランタオピークは海から935mまで一気に駆け上がる難所となる


ツアーホテル前には路面電車が行き交う

ランタオ島にはフェリーで移動


シルバーマインビーチ



魚がいっぱい


大会前はお粥と

ワンタン麺カーボローディング

2017神奈川マラソン ハーフ

  • 2017.02.05 Sunday
  • 13:30
1週間前の川崎月例は39分04の絶望的ワースト記録を樹立。

落ち続けるロードのタイムに、モチベーションも下がり、成長を諦めかけていた。

先週10kmでさえ3分台がキープできず、4分台でなんとかゴールした経緯から、完全にビビリモードで、スタートからすぐに3分55で入ると決めていた。


スタートで並んでいると、以前こどもの国マラソンでトップ10争いをした Tさんと再会し、レース談義に花が咲く。おかげで変にプレッシャーもなく、スタートを迎えた。

どうせPBなんて、出やしない、ワースト記録だけ逃れよう、そんな弱気なスタートだった。

いつもなら気合で3分40ぐらいで突っ込むが、スタートの人混みが落ち着いたら、すぐに3分55、4分まで抑えた。km4で通せば1時間24分台には収まる。
それぐらいの気持ちで、余裕を持って入った。

すると!すぐ後ろからなんと せーきちさんあらわる!
私の一番昔からのブロ友さん。
私が初めてできたラン友さんだ。

その当時からずーっと、お互いサイドバイサイドのバトルを繰り広げて来た。
2年前もラスト2kmまでサイドバイサイド、僅差でお互いPBを出した。

私のハーフのPBはその時の1時間22分台。

だが昨年から仕事でウルトラ系80〜100kmの大会が増え、スピードは失われていった。
今年は3回横浜月例20kmに挑んだが、全て15kmあたりで失速しワースト記録の連続だった。
ロードはここまでほとんどうまくいっていない。

なのでものすごく慎重なレースを展開した。

ペースはとにかく3分55で刻む。少しきついと思ったらすぐに4分へ落とし、余力を残すことを意識。ピッチ走法で呼吸と腹筋、腕振りだけで足を前に出す意識を心がけた。

とにかく潰れないように。そこだけに集中。

しかし、入りを抑えたおかげか、7kmぐらいから体が動き出し、気がつくと3分45とかに入るようになり始める。
すぐに緩めて3分50に落とす。
落とすとなんか楽だ。
ん?今日は体が動くなあ〜

そう思い始めていた。
せーきちさんは自分の約150mぐらい前を行っていた。
私の集団は綺麗に3分55で進んでいたが、折り返してからどうしても遅いと感じ、集団から抜け出し始める。

ペースダウンするランナーをひたすら抜き続け、おそらく3分50ペースぐらいの一つ前の集団を追う。

そのグループの前の方にせーきちさんが見えている。少しずつ、距離が詰まって行く。
15kmあたりてSTCのなんとかブーストと言う、悪魔のジェルと噂されるジェルを飲む。

非常に高価なジェルだが、ラスト約15-30分、ミラクルな追い込みが効くと噂されているジェルだ。
しかし、ジェルを一滴残らず飲もうと、頑張ってチューチューしたら呼吸が不足してすごい苦しくなった!!

一旦呼吸を落ち着かせ、またじわじわと追い上げる。
ついに前の集団を捉え、次々に抜かすがせーきちさんもペースを上げている。
ラスト3.5km最後の折り返しでせーきちさんにサイン。お互いの健闘を讃える。
折り返して、最後のスロットルを開ける。腕をしっかり振り、腹筋出足を前に。かなりきつくなって来たが、まだ垂れてはいない。
じわりじわりと、せーきちさんに迫るも、せーきちさんもナイス粘り。お互いペースダウンするランナーをどんどん抜かしながら順位を上げて行く、ラスト1.5kmついにせーきちさんの背中を捉える。

しかし、追いつくのにかなり消耗。イエローランプが灯り、一旦せーきちさんの背後で呼吸を整える。
ゴールに向かい左折すると、最後の長い直線へ入るところで、わずかに登る。ここで満を辞してスパート!
行くぜ!せーきちさん!
グワッと上げたつもりだがピッタリつかれた。自分も思ったほど余力が無く、一度スロットルを戻す。
そしてまさにサイドバイサイド、ラスト1kmの勝負へ。

ラスト1kmの看板を過ぎ、意を決して最後の一発を打ち込む。
どおりゃああ!!

久々のせーきちさんとのバトル、お互い正面からぶつかりこのバトルは本当に痺れた。

時計を見るとまだ1時間17分前後!
速い、今までで最も速い!
もう意識が限界で正確な計算は出来なかったが、もしかしたら憧れの20分切りが可能かもしれない!

そう感じた。

呼吸は限界に上がり、指先がビリビリ痺れ、ふくらはぎもビリビリと限界が迫る。あとは最後に左に曲がり日清工場にはいればゴールだ。
左折はまだか!まだ来ないか!
必死に腕を振るが、足が前に出なくなって来た。
うー、せーきちさんに追いつかれるかも!
前を追え!前を!
必死に言い聞かせ、狭まる視界の中前のランナーを追う。

左に曲がって行くランナーが見える!
もうすぐ、もう少し!!
時計は20分を回った、でもいい!
PB確定だ!

最後に左折し、フンガーっ!!
ともがいてゴール!!

1時間20分45ぐらい!!
やった!!
PB更新!!

そしてすぐ、せーきちさんゴール!!
お互い大幅なPB更新だ!

握手して、お互いの健闘を称え合う。
2年前も超僅差の戦いだった。
本当にせーきちさんとのバトルは楽しいし充実している。

せーきちさんが居なければ絶対このタイムは出なかった。

最近ロードもトレイルも記録更新が出来なくなって、モチベーションが上がらない日々が続いていた。

でも今日は久々に自分は成長できていることを実感し、最高な気分でゴール出来た!
心からレースを楽しめた!

良きライバルの、せーきちさんに心から感謝したい。

またこれで頑張れる。

ゴール後、スタートで一緒だったTさんにも再開。なんと1時間14分台PB更新だそうだ!

すげー!!
いい刺激になる。

Tさんと私は同い年。
今年はウルトラトレイルオーストラリアに出るそうで現地でまた会えるかもしれない。

40になってもまだまだ強くなれる。
またこれを機にがんばろう!
久々に最高の充実感。
神奈川マラソン、コースはつまらないが記録を狙うには最適なレース。
出てよかった。
これで気持ちよく、トレイルシーズンに入れる。

また頑張ろう!

トレイル お年越し! ウルトラトレイル タイモーシャン

  • 2017.02.01 Wednesday
  • 19:30
元旦スタート、香港のYTF50k 走って来ました。
物凄い絶景トレイルで素晴らしいコース!でも半端なくきついコースでした。

スタートから20kmまで、ノースフェイスの松永選手とずっと二人で走ることができ、大変貴重な体験をさせていただき、光栄でした!

約550名出走で、総合8位でゴール。昼前後が暑くて足がつりまくり順位を落としましたが、良い新年を迎えました。あけましておめでとうございます!! ちなみにUTMT 164k優勝のグリニウス選手がYTFの区間をちょうど約8時間で通過していたので、そのタイムに勝てるのか挑戦したところ、なんとか約20分勝つことができました。100マイルでは絶対不可能ですが。笑



トレイルランナーなら最高のお年越し、ウルトラお年越し!
来年はあなたも、ツアーでいかがでしょう?

2017 Vibram HK100 レポ

  • 2017.01.30 Monday
  • 21:38
昨年は大寒波、今年は凄まじい濃霧と、なかなか天候に恵まれないVibramHK100k, 昨年の記録更新、80位以内を目標にスタート。

50km CP5 までは良いペースだったと感じていたし、疲労感も少なくいけると思っていたが、CP7あたりから食欲が落ち込みペースダウン。

猿の群れに囲まれたシンムンダムCP8へのロードは歩き倒してしまい、昨年同様にCP8でカップラーメンで復活を期待するも、完食後3分で全部出てしまう(ToT) 公園管理の方、すみません!
もう何も食べられず、そのまま休むか、進むか迷うがCCCの時のリバース後の復活を期待してそのまま進むことに。

しかしこれがミスジャッジであり、完全にハンガーノック状態となり、歩くこともままならない状態に突入。

さまようゾンビとなり、ごぼう抜かれ、記録更新も諦める。針山の階段地獄にブツブツと悪態をつき、濃霧で何も見えないロードで もうトレイルを辞めてやると何度も頭でリピート。


CP8-9の平均時速が3.3kmと大ブレーキ。CP9に命からがら到着し、なんとか喉を通るホットチョコレートを補給。

食べ物は全てダメで、コーラを約200ml飲む。コーラは体が喜ぶ反応をしたので、朦朧とする頭でカロリー計算。ホットチョコレートで100kcal.コーラで100kcal. フラスクにホットチョコレート150kcal分トータル350kcalあれば、残り10kmのうちきつい登りは約3km、あとは緩やかになり4kmは下りでゴールだからなんとかたどり着けるはず。

ホットチョコレートとコーラの糖分だけが頼みの綱でフラフラとエイドアウト。10分ぐらいで体が動き始め、汗も出始めなんとか復活。CP9-ゴールの10kmで21人抜き返し、辛うじて15時間以内でゴール。
本当に苦しかった(ToT) 振り返るとレースパターンがCCCと全く同じ。ゴール前15km前後でブレーキする悪い癖。やはりもっと前半抑えないといけなかった。そしてやはり100kは長い。

自分には50-80kレースがマッチしているのかも。

大会のエイドや子供達のサポートが本当に素晴らしく、前半の海を眺めながら走るセクションは本当に素晴らしく美しかった。
後半の濃霧は本当に厳しかったけど、今振り返るとやはり良い大会でした。


川崎月例で、爆死

  • 2017.01.29 Sunday
  • 14:30
Vibram100k後 1mmも走らずに、2週間ノーランで川崎月例へ。
3km 10分42. 10km ワースト記録39分02 最後km4がキープ出来ずT_T。

初めて10km走った時でさえ38分台だったのに。 ああ、どんどんスピードが落ちて行く(>_<)
原因は分かっている。できない食事コントロール、ベスト体重+2kgからどうしても落とせない精神的弱さ。

大阪国際みながら、自分のヘタレ具合を深く反省。来週の神奈川マラソンは間違いなく地獄の修行になりそう。1時間25分切れたら御の字かもしれない。なんとか立て直したい。
とにかく2kg痩せりゃいいのに、なんでできないかなあ…情けない。T_T

こどもの国マラソン ハーフで ついに!

  • 2016.12.13 Tuesday
  • 08:59
長らく ブログ更新せず…。
書こう書こうと思いつつ、早半年。

来年はまたちゃんと更新するようにしたい。

11月の修行走を走ってシーズン終了のつもりが、まさかの積雪短縮によりDNSしたため、非常に負完全燃焼だった為、急遽何か走れないか探した結果、かなり近所のこどもの国マラソン エンタメラン と言うのがあったので、ポチり。

年明けから 香港二連発なので、その練習も兼ねてロードのアップダウンをやっておこうと参加。

当日現地入りすると、全然人がいない!こんなに参加者が少ない大会も珍しい。

これは、ひょっとしたら!
と、密かな期待をしつつスタートへ。
ハーフはリレーと混走なので タスキがないランナーをよく見ていく。

スタート直後2人先行される。
やはり強いランナーは隠れていたか。
さらには白髪のランナーにも前に行かれ焦る。

こどもの国は12月から2月にかけて毎月2-3レース開催しており、練習にはお手軽だ。しかもコースはひたすらアップダウンで、10%ぐらいのヤバい坂がある。
ハーフは約4.2kmのこのコースを5周。
2年前、初めてのフルマラソン 横浜マラソン前にこどもの国マラソンフルを走り10位だった。

それ以来2年ぶりのこどもの国。

先行された2名をジリジリ詰めて行く。
なんとか見える範囲で、差は広がらなくなった。先行するのは若そうなランナー。ストライド走法だかこの激しいアップダウンのコースには後半負担が来そうな感じに見えた。
追いかけるが差は縮まらず。約20m差をキープ。
1周目のホームストレートに設けられた補給で追いつく。

なんと、今日は捕食を全部忘れ、エイドのバナナとアンパンでエネルギーをとるしかない。
バナナを頬張りスポドリを飲んだ。

若者より先行して走り出すが、若者はすぐ追いかけて来て、私を抜かす。
周回のゴール地点にはおそらく彼女と思われる女性が 17分だよ!とラップを告げていた。
これが、俄然私のやる気に火をつけた。
俺はボッチだぜー!ちきしょー!

一旦若者を先行させ、激坂上りで様子を見ることにした。
激坂には入りグッとペースが落ちた。
それでも後ろで待つが、かなり遅い。
テストしてみよう。そう思い横から抜いてペースを上げる。
明らかについて来たのでさらにあげて見る。まだ着いてくる。
登り切ると下らずにまだゆるく登る。
ここで自分もかなりきつかったが、若者がかなり息が上がっていたのでオールアウトまで持ち込ませようとあえて着いて来れそうなペースでさらに上げた。

すると徐々に足音が離れ始める。
10mほど空いた。でも、こっちも結構心拍が上がってしまった。き、きつい。
まだ4周ある。
自分で仕掛けて、後半自分で潰れたらカッコ悪い。
自滅しないようにギリギリでコントロールして、少しずつ離す。
二周目は補給しなかった。ラップはほぼ変わらず。

また激坂へ。だいぶ差が広がり始める。
ここからは自分のペース作りに集中。
5kmのラップはずっと21分台を刻む。10%の登りは流石にきつくなって来たけど、後ろは全く見えなくなった。

今トップを走っている、と思っていたら、4周目に入る時 前と1分です!と言われる。

なに??
まだ居たのか?

くっそー、めったにない勝利のチャンスが!!
ペースを上げた。

すると、全身コンプレススポーツで決めた フルマラソンでぶっちぎり1位のランナーが見えてきた。
ハーフより先にスタートしていたフルを見ていた時、後続を5分以上離していたので、相当速そうだと思って見ていたが、流石にペースが落ちており、一瞬で抜き去る。もしかしたらフルのランナートップと勘違いしたのでは?
と、気づく。

いよいよ最終ラップに入る。足はまだ動く。タイムを見るとギリギリで1時間25分切りは狙えるかもしれない。

こどもの国のコースはロードとしては他に礼を見ないアップダウンなので、フラットなら-4〜5分ぐらいの計算。
当面の目標はハーフの1時間20分切りなので、なるべくそれに近づきたい。

最終ラップをべストラップにしたい!
そう気合いを入れてラスト1周へ。
流石に思うようにペースは上がらず、だけどなるべく追い込んだ。

最後の急下りも足首がミシミシいったが、全開で下りゴールまで追い込んだ。
そして、ついに!
一番でゴール!

非常に小さな大会ではあったけれど、一度は誰よりも速くゴールに入ってみたかった。
そして、2016年最後のレースでそれを成し遂げた。

ゴール前は オー勝つぞー!と、思っていたが、ゴールした瞬間。
あ、勝ったなあ…。
と、意外と冷静というか、もうその瞬間は終わり、もっと大きな大会で勝ちたいという、欲求が芽生えていた。
来年、40になる。
36で始めたラン。
初めての一番まで3年かかった。
でも、その行程は最高に楽しかった。
トレランと出会い、たくさんの出会いがあり、今に至る。
このスポーツが存在することに感謝したい。

年末年始は香港で迎える。そのあとウルトラトレイルワールドシリーズ 第1戦 Vibrum香港100k に出場予定。

また、がんばろう!

激動の夏が終わって

  • 2016.09.02 Friday
  • 06:47

 

こんなに長いことブログを更新しなかったのは、もしかしたら私がこのブログを書き始めて以来かもしれない。

描きたくなかったわけでも、忘れていたわけでもなく、この夏はブログに時間を割くことは全くできなかった。

むしろ書きたいことは山ほどあるに書けなかったことが残念だった。

 

あまりに沢山のことがありすぎて整理しきれないが、まずは少しでも早く書いておきたいことから、書いていこうと思う。

 

初めて企画したUTMBツアーは、当初の予想をはるかに上回る反響で35名も集まっていただいた。
そのため当然ながら準備作業も大変で、TDSのために早く入られる方、短期間の方、長く滞在する方、多様なスケジュールをミスなく手配するのは簡単では無い。
だけど、ここを一つでもミスると、せっかく楽しみに来てくださる方の旅を台無しにしてしまいかねないので、遅延や欠航などの対処も考慮しつつ、準備。

この6.7.8月だけで100名以上のお客様のツアーを手がけ、こんなに頑張った三ヶ月は無かっただろう。

今UTMBを終えて、ホッと方をなでおろしているところだ。

そして、私自身もCCCに参加した。

UTMBの盛り上がりは、やはり別格である。
今や魅力的な大会はどんどん増えて、コースの難易度としては決して最難関の大会では無い。

しかし、間違いなくウルトラトレイルと言うジャンルを確立し、一気に世界に広めたのはこのUTMBであり、トレイルランの世界において、不動の地位を築いている。

欧州のバカンスシーズンの最終週末と重なる事もあり、一般観光客も含め、フランスシャモニーはMAXの集客となる。
CCCは、モンブラントンネルを抜けた先、イタリアのクールマイヨールをスタートし、スイスのシャンペを通過、フランスのシャモニーにゴールする101km.獲得標高6100m のコース。
自らの足で三カ国の国境をまたぐ、壮大な旅だ。

6月に走ったモンブランマラソンは82kmで獲得標高6200mだったので、難易度としては同等と予測した。

ただ距離が約20kmも長い事から、モンブランマラソンの完走タイム17時間フラより1〜2時間は余計にかかるとなんとなく感じていた。
私はレース計画を立てない。予定通過時刻なども決めない。心拍計もつけないし、時計も付けるけれどほとんど見ない。

ただスタート前に距離と獲得標高、コースプロフィールをなんとなく眺め、何となく、これぐらいでゴールでは無いだろうか?と根拠のない予測を立てるのだが、これがなかなかの精度になりつつある。

 

CCCスタート直前まで自分のレースに集中する時間はなかった。24日朝6時スタートのTDSの送迎に朝3時半起きでおこなったり、スイススタートのOCCの送迎も早朝、受付の同伴などひたすらシャモニー周辺を走り回っていた。

 

自分のレース参加はあくまでおまけ。ツアーの皆さんがきちんと全てのレースに参加できて、安全に帰ることが最優先。

 

無事全員がスタートゲートに並び、私はCCCのウェイブスタートの最前列だった。

その時まで知らなかったのだが、ゼッケン3000番台がITRAポイントランキング上位者らしく、なんと同じ3000番代にはあの上田瑠偉くんもいた。

 

クールマイヨールのスタートに並んでいると、なんと瑠偉くんが声をかけてくれた。

そう、ここCCCにくる約1ヶ月前、瑠偉くんのスペイン・スカイランニング世界選手権 Epic Trailのツアーも帯同して、ヴァーティカルとスカイの総合で争う「コンバインド」で瑠偉くんが世界2位銀メダルを獲得するのを間近で見ることができた。

 

そんな流れもあって、こんなおっさんランナーでさえ、瑠偉くんは声をかけてくれるようになったのである。

本当に嬉しいことだ。

 

今回のUTMBには家族も連れてきた。この先これほどの大きな舞台で走れることはあと何回あるかわからない。

できるうちに1回でも子供たちに自分が世界の舞台で走る姿を見ておいて欲しかった。

特に娘は昨年のモンブランマラソンには一緒に来ることができなかったので、最初で最後のつもりで連れてきた。

 

娘はお年頃で思春期になり、会話も一緒に過ごす時間も非常に少なくなった。

こうして私のレースを見に来るのも、もしかしたらこれが最後かもしれなかった。

 

すごくつまらなさそうにするかもしれないと思っていたが、期待を裏切り、娘はシャモニーでの滞在をとても楽しそうに過ごしていた。その証拠にいつもより私とよく話したし、2人で一緒にカレーを作ったりして、普段ではあり得ない体験をさせてくれた。

 

本人は全く走る気はないようだが、周りの日本人たちが頑張って走っている経過をえらく気にかけていて、TDSのレース中などもなんどもライブトレイルの情報を調べろと私に言ってきた。

思いがけず強く興味を持ってくれていることに、密かに嬉しかった。

 

いよいよCCCスタート地点にあのUTMBのテーマソングが流れる。

ここイタリアをスタートし、スイスを通り、フランス シャモニーにゴールする101kmの壮大な旅が始まる。

このトレイルランニングという世界において、頂点の大会はUTMBだが、その約6割の同じコースを走るCCC。そしてこの距離を得意とする世界のトップランナーが集まるこの大会。私が挑戦するスポーツの大会として、私の人生の中で最も大きなチャレンジであることに間違いなかった。

 

このブログを書き始めたきっかけ、いつか、いつの日かUTMBを走ってみたい。

その舞台の入り口に、私はついに立ったのだと感じていた。

あの激しい挫折の中、引きこもって部屋で一人PCの画面で眺めていた鏑木さんが走るUTMBの世界。

あの時唯一興味が湧き、すごい世界があるもんだな、とまさか数年後に自分がその舞台にやってくるとは夢にも思わなかったあの場所に、今立っているのだと、その現実を噛み締めようと必死だった。

 

そしてその最高の舞台で大切な家族が私の旅立ちを応援してくれている。

最高に幸せな瞬間だった。

夢のような気持ちだった。

 

ついに来たんだ。

 

スピーカーと全てのランナーから大きな声でカウントダウンが始まる。

「チンクエ!クワトロ!トレ!ドゥエ!ウノ! パルテ!!!!」

 

ヘリコプターが撮影するイタリアクールマイヨールの町から、1900名のランナーが一斉に飛び出して行く。

 

「ああ、ついに、ついにスタートした!」

同時にどこか寂しさも感じていた。いつの日かと憧れていた瞬間が今やってきた。

でも、もうそれがやってきたということは、その憧れの時間の終わりが近づいているということでもある。

ああ、永遠に続いていてほしい。終わらないでほしい。こんな幸せな時間を、終わらせないでほしい。

 

そんな思いも交錯した。

自分はいち早くゴールにつけるように頑張りたい、でも同時に早くゴールしてしまうのはこの夢のような時間を短くしてしまうような気持ちでもあった。

 

空は引き続き真っ青に快晴だった。

クールマイヨールの町をぐるっと回るように、また町の中心を通っていく。

凄まじい完成と拍手。まさしく世界最大のイベント。鳥肌が立つ。

うれしい。ほんとうにうれしい!ここを走れることが。

 

町を抜けると早速山に向かってしばらく峠走となる。

コースの試走はしていないから、この登りがどれぐらい続くのか皆目見当がつかない。

ストックをどのタイミングで出すかもわからない。

でも、なんとなくこの先の雰囲気で早めにストックを出し、ロードの登りでもストックを使い始めた。

 

バンバン抜かれてゆく。願わくば100位以内を狙いたいと思っていたが、早々にそれは非常に難解な目標であることがわかる。

自分の調子が悪いのか、周りのレベルが高いのか、その両方の可能性もあった。

正直練習は全くできなかった。

でも、それは怠けたわけではなかったから、気持ちの整理はついていた。

この現状でのベストを尽くそう。

 

しばらくして森の中へコースは進路を変えて、いろいろトレイルに入ってゆく。

さあ、いよいよ始まった!

CCC101km の旅が!

 

つづく

帰国

  • 2016.08.01 Monday
  • 08:40
怒涛のツアー添乗をこなし、帰国しました。

6月 モンブランマラソン ウルトラ 80km






私も参加 17時間02分 138位 1300エントリー

グランフォンド ラ マーモット






7月 ツールドフランス ピレネー アンドラ観戦





スカイランニング世界選手権 スペイン Epic Trail 日本代表遠征




ツールドフランス アルプス観戦ツアー

ツールドフランス パリ観戦ツアー


ツールドフランス クリテリウムアプレツール観戦ツアー



モンブランマラソン ウルトラ2016 速報

  • 2016.06.29 Wednesday
  • 09:12

快晴のChamonix


copyright Cyrille Quintard


宿泊したバルコンドゥサボワ


昨年のUTMB覇者、グザビエ選手はUTMFに出るようですよ!


受付は必携チェックが厳しくなりました


レース前にブレブァンに視察
すごい雪


ブレブァンからの絶景。言葉になりません


copyright Cyrille Quintard
セバスチャンも参戦


copyright Cyrille Quintard
大瀬選手も13位と健闘


最高の絶景、でも暑かった!


コース変更で最大の難関だったエモッソンダム。 一度リタイヤを覚悟


献身的なサポートをしてくれた昨年のUTMB V2Hカテゴリー 優勝のジョンマーク ペレさん


レース後には絶景のアギュイドゥミディへ

苦しいレースでしたが、なんとかゴールしました!
本当にキツイコースです。
日本のレースでこれほど山力を求められるレースは無いと思います。

レポ詳細は後日!


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